【100人目のクリエイター特集記事】
「存在しない夢の景色」を描く—
852話さんが魅せる、AI表現の新境地
このたび AI Creator File は、ついに 100人目 のクリエイター紹介という節目を迎えました。その特別な回にご紹介させていただくのが、AIイラスト黎明期から第一線で活動を続けている852話(はこにわ)さんです。
X(旧Twitter)では36万人を超えるフォロワーを持ち、国内外で多くのAIアートファンを魅了してきた852話さん。その作品に初めて出会ったときの衝撃は、今でも鮮明に覚えています。
「こんな世界が、AIで描けるのか」——そう思わせる表現力に、静かに心を奪われました。
AI Creator File 節目のこのタイミングでご紹介できること、そして快くご協力いただけたことに、改めて感謝いたします。
AIクリエイター名
852話

■ 二次元特有の「夢の光景」を追求する
852話さんが創作で一貫して掲げているテーマは、 「存在しない、二次元特有の夢のような光景」。
キャラクターの仕草や、シーンごとの光の演出、感情の余白の切り取り方。 一枚の絵や一本の動画に、言葉以上のストーリーが宿っているのを感じます。
世界観のある作風、緻密な構成、時には意外性や大胆な演出も——852話さんの作品には、常に“新しい表現”への挑戦があります。 一つの型にとどまらず、常に異なる角度からアプローチしながらも、そのどれもがクオリティ高く完成されているのが驚きです。 新しいことに挑み続けるその姿勢こそ、852話さんが多くの人に支持される理由のひとつかもしれません。
■ 「個人クリエイター」から「AI会社の経営者」へ
15年前は、ボカロP、絵師、動画師として創作活動をスタート。 AI以前はゲームのコンセプトアートや背景グラフィックを手がけ、個人でのゲーム開発も行っていたそうです。
そして現在は、AIを活用した制作会社を自ら立ち上げ、経営者としても活躍中。 使用ツールはComfyUI、Midjourney、NijiJourney、DreamMachine、Gen-4、Viduなど。日々投稿される作品には、技術とセンスの両方が惜しみなく注がれています。
作品はSNSでも注目を集め、AIを通じた創作の可能性を世の中に提示し続けています。
■ なぜ、AIを表現手段に選んだのか?
きっかけは、ゲーム開発の延長線にありました。 「自分のゲーム制作にすごく便利だと思ったから」 そして「自分が担当していたような場末の背景グラフィックの仕事は、今後AIに置き換わるという確信があったから」
その洞察と直感が、現在の活動の土台になっています。 柔軟に技術を取り入れ、表現の選択肢としてAIを活かしてきた姿勢は、これからのクリエイター像に重なります。
■ AIによって広がる「創造の余白」
852話さんがAIに期待するのは、「表現の効率化」だけではありません。 AIを活用して制作のコストや時間を抑えることで、アイディアを温めたり、次の挑戦に向かう余白をつくることができる。 その分、創作の自由度や挑戦の幅が広がり、「もっと面白いことができる」という好循環が生まれるのです。
今後はAI動画・AI漫画・AIゲームといった複合的な表現にも挑戦していくとのこと。 平面のビジュアルから、時間と空間を持った体験へ。852話さんの進化は、まだまだ止まりません。
■ A.C.Fで100名紹介させていただき、いま改めて思うこと
これまで100名のAIクリエイターを紹介してきた中で、改めて気づかされるのは、表現において大切なのは“技術”だけではないということです。
852話さんは、そのことをあらためて強く感じさせてくれる存在です。 AI技術を道具として使いこなすだけでなく、「何を描きたいか」「どんな世界を見せたいか」というビジョンを明確に持ち、AIという新しい手段でそれを丁寧に形にしていく。そんな姿に、AI表現におけるひとつの理想があるように思います。
852話さんの作品は、見る人の記憶や感情の奥にそっと触れてくるような“作品”として、強い存在感を放っています。これからAIで創作を始めようとしている方にとっても、その背中はきっと大きな道標になるはずです。